月が昇る 夜が開く 刻を刻む ひとつ ふたつ 今宵も一杯 いただきましょうか 古びた硝子に 映る月 誰かの記憶を 閉じ込めて 色褪せた器 手に取れば 遠い昔の 声がする 眼で見て 触れて 心で量る 価値のないものなど この世にはないでしょう 過ぎゆく刻を 惜しむくらいなら せめて今宵を 笑っておくれ 廻れ 廻れ 時の歯車 月影さえも 呑み込んで 咲いて 散って また咲けばいい 一期一会の この世なら さあ 杯を掲げましょう 明日のことなど 明日でいい 今を生きるが 私の道 欲しいものなら 手に入れな 骨董屋の奥 灯る火に 幾千年の 夢が眠る 誰かが捨てた 悲しみも 誰かが愛した 宝物 九割ですか? それじゃあ高い 八割――いや 七割でどうでしょう 笑ってごまかし 最後に決めるのは 強さと度胸と ほんの少しの 愛嬌さ 戻れぬ刻を 悔やむくらいなら 今この瞬間を 抱きしめなさい 廻れ 廻れ 時の歯車 昨日の涙も 酒にして 夢も 傷も 抱えたままで 笑い飛ばせば それでいい さあ 杯を空けましょう 月が沈むまで 付き合いな 消えゆくものに 価値がある だから私は 手放さない もしも時を 止められるなら ひとつだけ 残したいものがある 失くしたくない この笑い声 忘れたくない この温もり 戻れないから 愛おしい 止まれ 止まれ 時よ 今だけ この瞬間を 永遠にして 廻れ 廻れ 時の歯車 幾千の夜を 越えてゆけ 散って 消えて 忘れられても 残る想いは 消えやしない さあ 杯を掲げましょう 泣くも笑うも この命 今を生きるが 私の道 明日の値札は 明日つける 廻れ 廻れ 月の下 刻を肴に もう一杯 古きものほど 美しい それでも私は 今を選ぶ 月が沈む 夜が明ける 刻はまた 動き出す