
真夜中ちょうどを過ぎたころ ぼくはそっと腕を伸ばす 固まっていた足をほぐして ベッドの端から飛び降りる 床に落ちた本を片づけて 脱いだ靴下を端へ運ぶ 君の悪い夢を追い払って 冷えた肩まで毛布を掛ける 朝になったら また動かないふりをする 君が目を覚ますその前に いつもの場所へ急いで戻る 一度だけ危ない朝があった 目覚まし時計が早く鳴り 片足を上げた姿のまま 君とばっちり目が合った 寝ぼけた君は首をかしげ 気のせいかなと目を閉じた ぼくは一晩分の勇気を使い ゆっくり足を下ろしたんだ 朝になったら ただのぬいぐるみに戻る 夜の秘密を守ることが ぼくらの古い決まりだから 本当は君と歩きたいし 一緒に朝ごはんも食べてみたい だけど動けないぼくだからこそ 話せる秘密もあるのだろう 君が部屋を出ていったあと 仲間と顔を見合わせて笑う 今夜はもっと慎重にしようと 言いながら昼寝を始める 朝になったらまた動かないふり それでも心は動いている 君が知らない夜のあいだも ぼくは君を守っているよ

