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お嬢様ディスコ⑧《サロン編》

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「……えぇ、それで?遅刻の、ご理由は?」 「まさかの、リムジンが渋滞に巻き込まれまして。 ええ、“祝日の賑わい”だったとかで……なんとも、華やかな混線ですわね。」 「……また、嘘を飾るのが上手ですこと。」 「わたくし、時計が逆回転してる夢を見まして、それで遅れて――あら、現実だったかしら?」 「夢と現実の境目があいまいになるのは、教養の深さとも言えますけれども。今日は3分の遅刻ですわ。」 「それにしてもこの音楽、今夜は少し……トキオ風? ですわね?」 「気づきました?ミラノで録音されたものよ。しかもアナログ盤。1枚限り。」 「まぁっ。つまりこれは、存在しない音を今聴いてるってこと?」 「そういう言い方……嫌いではありませんわ。詩的で。」 「ところで、あの件。例の“彼”は……?」 「……ふふ、ご想像にお任せするわ。」 「え、なになに?え〜ずるいっ、みんな秘密ばっかり〜!」 「秘密があるから、夜は艶やかになりますのよ。」 「そして艶やかさこそ、お嬢様のたしなみ。」 「……ただし、誰にも話さないこと。」 「ねぇ、じゃあ今日は誰が――一番秘密、抱えてるの?」 「全員ですわよ。なぜなら――」 「わたくしたち、“お嬢様”ですもの。」 「……って言う割に、さっきから全員話しすぎじゃなくって?」 「うふふ……確かにっ。」 「それも戦略。」 「ごきげんよう――秘密は、紅茶より冷めやすく、シャンパンより泡立ちやすいものですわ。」 「おーっほっほっほっほっほっ♡」 「ふふっ、秘密は増えるばかりでございますわね。」